年金改革の財政的帰結 : 高齢者の就業・引退選択を考慮したマイクロ・シミュレーション
本稿の目的は、1996年『高年齢者就業実態調査』の個票に基づき、年金改革の財政収支に及ぼす影響を、高齢者の就業・引退選択への影響を明示的に考慮したマイクロ・シミュレーションによって定量的に分析することである。引退年齢の延長がもたらす経済的便益を考慮した動学的なモデルによって分析すると、年金改革が高齢者の労働供給に無視できない影響を及ぼすことが確認された。また、年金改革の財政収支への影響を、機械的効果(高齢者の行動に変化がないという仮定の下で、支給開始年齢の引き上げなど年金制度の変更のみによって発生する効果)と行動効果(高齢者の行動の変化を反映した効果)とに分割して、いくつかの年金改革の財政効果を試算した。その結果、行動効果の大きさは異なる年齢間で相殺され、全体としては限定的になることが示された。本稿ではさらに、年金改革の効果を所得階級別に比較することにより、世代内公平の観点から改革を評価した。
Extent: | application/pdf |
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Series: | |
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Type of publication: | Book / Working Paper
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Language: | English |
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Notes: | Number 173 20 pages long [13] p. |
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Source: | |
Persistent link: https://www.econbiz.de/10005018397