阿部, 彩 - Center for Intergenerational Studies, Institute of … - 2013
医療サービスの受診抑制は、「国民皆保険」の精神に反する医療制度の重大な危機である。しかしながら、人々がどのような理由で、また、どれくらいの頻度で医療機関に行くことを抑制しているのかについては、詳細な分析が乏しい。本稿は、日本における受診抑制の発生状況とその要因を解明しようとした先行研究をレビューし、その上で「まちと家族の健康調査 …」の個票データにもとづき、成人(20~59歳)の受診抑制の有無とその理由について初期的分析を行った。先行研究からは、受診を抑制したと感じている人は相当数存在し、この率は、勤労世代では(主観的に)健康でなかった人のうちの30%から50%程度と推測されること、所得階層によって、受診抑制したと感じる人の割合は異なること、受診抑制の理由として、金銭的な理由が挙げられることが多いものの、時間的な制約も大きい要因となっていること、がわかった。「まちと家族の健康調査 …