田中, 秀明 - Center for Intergenerational Studies, Institute of … - 2010
、所得の種類や雇用状況、所得の水準、年齢、保険の加入状況などの属性や条件により、負担率に大きな不平等や不合理が存在し、またそれが部分的に拡大している。税・保険料の合計負担は所得水準に対して累進的ではあるものの、それは総所得比20%前後の定率負担に近いものである。社会保険料が定率負担ではなく、逆進性が強いことから、直接税の累進性が相殺されるからである。消費税の負担は直接税と併せれば、100万円(等価世帯所得)前後を除き、累進的である。年金・医療等の社会保険制度には、相当の一般財源が投入され、負担と給付のリンクが曖昧になっているが、それは、低所得の無保険者も負担の一部を担っていることを意味する。今後税制と社会保障制度の一体改革を検討するためには、実態の分析が不可欠であり、加えて、改革の優先順位が重要である。それは、直接税・社会保険料・両者の徴収面での一元化、保険制度の再設計、そして消費税・資産課税という順番である。 …