①こども手当を新設し配偶者控除等を廃止する民主党案を実施すると、全国5000万強世帯のうちの38%が所得純増となる(純増額は平均で年額23万円)。ただし所得増減なしの世帯が43%と比較的多く、負担が純増する世帯も18%(全国ベースで約920万世帯)ある。後者の負担純増額は平均で年額4万円と推計された。②高校卒業前の子供がいる世帯はほぼ間違いなく所得純増となる(純増額は子供1人で年額18万円、2人で41万円、3人以上で66万円)。③世帯主が55~64歳の年齢層では負担純増となる世帯が半数に近い。その負担純増額は平均で年額4万4000円弱である。④年収800万円以上で所得純増となる世帯が約500万世帯(世帯総数の1割弱)もある。こども手当等に児童手当なみの所得制限を課すと、年間で7700億円強(約19%)の財源を圧縮できる。⑤新制度では専業主婦世帯よりも共働き世帯の方が総じて有利になると言われている。しかし、専業主婦世帯で所得が純増するケースは意外と多く、6割弱を占める(64歳以下)。一方、配偶者控除の適用を受けている共働き世帯(全国推計で約330万世帯)のうち高校卒業前の子供が1人もいない世帯の場合、負担純増になる。⑥老年者控除の復活および公的年金等控除の最低額引き上げは「控除から手当へ」という民主党の大スローガンと整合的でない。下への格差拡大をくいとめるためには、むしろ所得制限つき老年者手当の方が望ましい。⑦こども手当は子育てに要する負担の一部を子供のいる世帯」から「子供のいない世帯」へ転嫁するという負担調整の性格が強い。
Extent: | application/pdf |
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Series: | |
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Type of publication: | Book / Working Paper
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Language: | Japanese |
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Notes: | 2009年9月11日 Number 454 7 pages long [5], 9, 10, 14p |
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Source: | |
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