介護労働者の早期離職要因に関する実証分析
介護従事者の離職者のうち、約40%が勤続1年未満、約75%が勤続年数3年未満の者であり、今後の介護サービス需要の増加に対応するためには、介護従事者の定着を促進することが重要な課題となる。しかしながら,介護職の早期離職決定要因に関して、賃金に着目した分析は、これまで、ほとんど行われていない。本稿では,介護従事者として雇用されている事業所の相対賃金が、事業所の早期離職者割合に与える影響を分析する。使用したデータは、財団法人介護労働安定センターが実施した『2007年度介護労働実態調査』の事業所調査票における全国1,590事業所の個票データである。分析対象は、介護事業所別に利用可能な、職種別・就業形態別の早期離職者割合であり、勤続1年未満離職者割合と、勤続1年以上3年未満離職者割合である。事業所単位の離職者であるため、他職種への転職、同一業界の別事業所への転職、そして、労働市場からの撤退、すべてを含むものである。そのため、介護サービス職以外の就業機会における賃金と比較した介護従事者の賃金が、事業所の早期離職者割合に与える影響と、同一の介護サービス職で別事業所の就業機会における賃金と比較した介護従事者の賃金が、事業所の早期離職者割合に与える影響を区別して分析を行った。分析の結果、早期離職者について、他職種との相対賃金が介護従事者の離職行動に与える有意な影響は、施設系介護職のみに認められ、その影響は、正規職と非正規職で異なることが示された。また、一部の教育・研修について、事業所の早期離職者割合を有意に低下させる傾向が示された。
Year of publication: |
2010-03
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Authors: | 花岡, 智恵 |
Institutions: | Center for Intergenerational Studies, Institute of Economic Research |
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