公的年金制度の維持可能性 : 年金財政及び世代別給付・負担倍率のシミュレーション分析
本稿では、日本の公的年金制度が維持可能かどうかを、少子高齢化及び将来の経済状況との関係から分析を行なった。2100年までの経済及び人口動態別シミュレーション分析を行ない、世代別の給付額、負担額、公的年金の財政収支、積立金の将来推計を行なった。厚生年金の世代別給付・負担倍率の推計としては厚生労働省によるものがある。しかしながら、前提条件を変えてさらに政策インプリケーションを得たい場合には、データやモデル入手の問題がある。また、厚生労働省推計の厚生年金・モデル世帯分析に対して、維持可能性という視点からはマクロの公的年金・世帯を見る必要がある。本稿では、公的年金全般を対象とし、その財政と年齢別の給付額、負担額を経済状況別に推計した。本稿の分析は、マクロ年金政策提言を可能とする公的年金維持可能性の基礎分析となる。分析結果では、いずれのケースでも若年世代ほど給付・負担倍率が小さくなることがわかった。特に、実質経済成長率が1%程度の場合では、2000年時点70歳世代が給付・負担倍率が2倍程度であるのに対し、30歳世代以下では1を下回るケースが多い。一方で、実質成長率が2%以上で、利子率が低ければ年齢別の給付・負担格差は小さくなり、倍率も1以上となる可能性がある。
Extent: | application/pdf |
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Series: | |
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Type of publication: | Book / Working Paper
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Language: | Japanese |
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Notes: | 2005年6月20日 Number 274 28 pages long |
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Classification: | H55 - Social Security and Public Pensions ; J18 - Public Policy |
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Persistent link: https://www.econbiz.de/10005018643