新領域の知的財産保護政策と企業行動 : ビジネス方法特許を題材として
わが国の特許制度は、時代の変遷に応じてその都度保護対象を拡大してきた。今後も革新的(ラディカル)なイノベーションが起こるたびに、同様の状況が繰り返されることになるだろう。しかしながら、現行の特許法に規定された数々の制度は、新しい技術分野へ保護対象を拡大することを予定して作られたものではなく、むしろ既存の技術分野における漸進的な技術革新の累積進歩を促すための制度であるから、唐突にその保護対象を拡大すれば、本来意図していない想定外の問題が生じうる。本稿では、そのような特殊な状況下での企業行動について考察し、制度上の問題点の整理を行った。具体的には、特許制度により新領域を保護するにあたって発生する様々な状況、すなわち、“特許制度の利用が促進される状況”、“特許適格性で出願が拒絶される状況”、“先行技術の蓄積がなくかつ基準が不明確な場合に不安定な権利が発生する状況”、“類似の発明が同時期に多数出願されることにより類似の特許が乱立する状況”、について検討を行い、それぞれの状況下における合理的な企業の行動とそれに伴う問題点を分析した。その結果、新領域を特許制度で保護することとした当初には、問題①:特許制度の利用が手控えられたり、問題②:価値のない出願が多数なされて特許庁の審査コストを増大させたり、問題③:企業にとっては制度利用のメリットが見出せないのに利用せざるを得ない状況(企業の特許制度へのロックイン)が発生することを明らかにするとともに、ビジネス方法特許を題材にこれら3つの問題に対する具体的な施策の効果について考察した。
Extent: | application/pdf |
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Series: | |
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Type of publication: | Book / Working Paper
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Language: | English |
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Notes: | Number 03-09 33 pages long |
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Persistent link: https://www.econbiz.de/10005748604