日本の年金改革 : 基礎年金の再編とNDC方式の導入
将来のわが国が目指すべき年金制度改革を、1階部分と2階部分の接合という観点から考察した。はじめに世界の年金動向を概観することにより、年金改革における選択肢を整理した。現行制度において基礎年金と呼称される1階部分については、加入記録の不備に端を発した信頼低下と未納者の増加という空洞化が進展しており、抜本的な制度改革が求められている。諸外国の1階部分は、ユニバーサルな仕組みではなく、所得=資産テストや年金テストに基づく、対象者を限定した最低保証を行う方法が採用されている。このようなセーフティネット機能を重視した最低保証タイプの年金が政策の選択肢となりうる。厚生年金や共済年金の2階部分である所得比例年金については、現行の賦課方式における政策変数の改善だけでは、制度の持続可能性が困難視される。近年、諸外国において注目を集めるNDC方式(概念上の拠出建て)を導入した場合には、持続可能性の維持と、個人会計の創設による受益と負担の関係性の明瞭化による個人ベースの信頼感の回復を図ることができる。2階部分のNDC方式と1階部分における最低保証年金は整合的である。NDC方式の導入に際しては、国民年金加入者への所得比例年金の適用拡大、遺族年金と障害年金の扱い、移行時の払い込み済み保険料の評価方法に関する制度設計が必要となる。
Extent: | application/pdf |
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Series: | |
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Type of publication: | Book / Working Paper
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Language: | English |
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Notes: | Pension Reform in Japan: Prospects for Minimum Pension Guarantee and Non-Financial Defined Contribution (NDC) Number 358 35 pages long |
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