2000年の4月から民事再生法が、従来の和議法に代わって施行された。本稿の目的は、企業金融の理論的な観点から民事再生法の意義と問題点について批判的に展望したうえで、いかなる制度が望ましいかについて検討することにある。民事再生法の下では、破綻企業の再生手続きを迅速化させるため、債務者自身による再生手続きが認められるとともに、担保権に別除権を認めつつ、市場価格での弁済をすることで、担保権を消滅させることができるようになった。このような担保権消滅請求制度は、企業経営に不可欠な資産の散逸を防ぎつつ、再生債務者によるモラルハザードを抑制することができるものと評価される。さらに、この制度は企業継続についての最適な意思決定を達成できる可能性を高めると考えられる。しかし、現行制度のもとでは、再生債務者が抵当権者の権利を侵害するおそれがある。この権利の濫用を防止するために、消滅後の残余債権に対して優先権を認めるほか、再生手続きの中での否認権を強化するなどの提案を含め、どのような制度が望ましいかについて検討する。
Extent: | application/pdf |
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Series: | |
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Type of publication: | Book / Working Paper
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Language: | Japanese |
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Notes: | Economic Analysis of Bankruptcy law in Japan Number 2003-4 32 pages long |
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Persistent link: https://www.econbiz.de/10005045168