不安定雇用と健康—『国民生活基礎調査』からの考察—
本稿は、非典型雇用者の健康について雇用契約の期間の違いに着目し、短期雇用者であることが主観的健康感、精神的苦痛度に及ぼす影響を2010年『国民生活基礎調査』のマイクロデータを用いて分析した。短期雇用者であることは、外生的な事象というよりむしろ個人の自己選択によって内生的に決定されると考えられる。そこで、Bivariate probit modelを用い、短期雇用者となる内生的な決定プロセスを説明する式と、短期雇用の「健康状態が悪い確率」に与える効果を説明する式の2式を同時推定した。その結果、男性雇用者について、短期雇用者であることは、K6が13以上の深刻な精神疾患である確率を上げていることが1%水準の有意性で示された。女性雇用者についても、短期雇用者であることは、K6が5以上の不安障害である確率を上げていることが1%水準の有意性で示された。短期雇用者など不安定雇用にある者へのメンタルヘルスのサポートが政策オプションとして望まれる。
Extent: | application/pdf |
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Series: | |
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Type of publication: | Book / Working Paper
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Notes: | Number 640 22 pages long |
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