1950年代生まれの所得格差と就業行動 : ねんきん定期便の加入履歴等に関するインターネット調査の概要と分析
ねんきん定期便は情報の宝庫である。働き始めてから現在に至るまでの年金加入履歴や賃金、保険料の納付履歴が正確に記録されている。また、年金の受給見込額や保険料納付額も記載されている。これらの行政データと、確実に記憶していると考えられる結婚・出産・両親との同居などのライフイベント等に関するインターネット調査を実施することにより、超長期にわたる正確なパネルデータを作成した。本稿は、この調査の概要をまとめるとともに、1950年代生まれに焦点を絞って、所得格差や就業行動などについて詳細な分析をしたものである。分析の結果、①生涯の保険料納付総額と年金受給総額のばらつきは大きく、老後の所得保障について議論する際、いわゆるモデル年金だけで議論することには無理があること、②現役時代は年齢が高くなるほど所得格差が広がったが年金受給時には縮小する見込みであること、③民間企業の正社員の給与所得の相対順位はかなり変動していたこと、④国民年金の納付行動は固定的ではなく変動していたこと、⑤年金加入区分は男子の初婚行動に影響を与えていなかったこと、⑥結婚や出産によって女子の就業継続が大きく阻害されていたが、とりわけ第1子出産の影響が大きかったことなど、一般的に知られている個々人の経済行動だけでなく、1950年代生まれ特有の傾向も明らかとなった。
Extent: | application/pdf |
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Series: | |
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Type of publication: | Book / Working Paper
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Language: | Japanese |
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Notes: | Number 495 30 pages long |
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Persistent link: https://www.econbiz.de/10008774545